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RaspberryPi3の放熱を考える

RaspberryPi3(以下ラズパイ3)が発売してしばらく経ちますが、2に比べて大幅に発熱が多くなったと言われています。公称消費電流を見ると、5V2.5Aと実に12.5Wもの消費電力です。今回はラズパイ3の放熱について考えてみます。

 

ヒートシンク+ファンの問題点

よく見かける方法として、チップと同じ程度の大きさのヒートシンクと(相対的に)大きなファンを組み合わせた例が良く見られます。

f:id:naki2080:20160720181057j:plain

 

この方法ではヒートシンクに対してファンが大きいため、ファンの気流全体を使えないので効率が良くありません。また、機械部品が増えることで故障に対するリスクも大きくなります。更に高さがあるため、上部に拡張ボードを取り付けようとしたり、ラズパイ自体をスタックしようとすると干渉して取り付けが困難となる事が予想されます。

輻射を使った放熱

そこで今回実施は輻射による放熱方法を実施してみました。これはチップの発熱を輻射熱に変換して外部に捨てる方法です。輻射による放熱は以下のような式で表されます。

https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/ac6c1d70ec50719f9eb1cbcd221135e8b214b51b

熱源:絶対温度Ts 、表面積A2 、放射率ε2

放射対象:表面積A1 、放射率ε1 、温度Ta

ここで注目してほしい事として、気温に関する項が無い点です。そのため、室温に関わらず*1受熱側の面積と温度によってのみ放熱能力が決まります。
輻射を使った放熱を行う物として、以下の商品が挙げられます。

www.ainex.jp

これは銅箔にファインセラミックスを塗布したシートで、銅箔による熱の分散とファインセラミックスによって熱を放射熱に変換し、輻射熱を利用して放熱するシートです。自作PCパーツを扱うような電気店、PCパーツショップなどで手に入ると思います。今回はこの原理を応用した放熱グッズを利用してラズパイ3に放熱対策を行いました。実際に貼ったラズパイ3は以下のようになります。

f:id:naki2080:20161203125009j:plain

結果

「まず貼る一番」を貼り、BOINCを用いてCPU4コア全体に負荷をかけ、温度とクロックのログを示します。室温28℃程度の室内での測定結果です。*2

f:id:naki2080:20170201211913p:plain


測定時間は20分少々です。緩やかに右肩上がりですが、サーマルスロットリングが発生する80度までは30分程度は耐えられそうです。

また、何もない状態では負荷をかけると数時間でフリーズしていましたが、シートを貼り付ける事でフリーズは無くなりました。もっと広い面積にシートを貼り付けると温度が下がる、80℃到達までの時間を遅くできると考えられます。

しかし、4コアともCPU使用率100%はかなり特殊な状況と思われますので、一般的な利用では十分な放熱効果が得られていると思います。

まとめ

  1. 今回の方法では4コアともCPU使用率を100%にしても30分程度はサーマルスロットリングが発生しませんでした
  2. 輻射熱による放熱を行う方法は、放熱能力の絶対量は高くありません
  3. 今回の方法では、拡張ボードを載せたりラズパイ自体をスタックするなど、上部にスペースがない場合でも放熱効果を得る事ができます
  4. ファンを使用しないため、オーディオ用途など電源ノイズを嫌う場合でも放熱効果を得る事が出来ます

 

1.について、30分程度はサーマルスロットリングの発生を抑えられるようです。もっと広い面積に貼り付けると温度を下げられ、80℃までの到達時間を遅らせられると考えられます。
2.について、より強力な放熱を求めるなら大型のヒートシンク+ファンでの冷却を行うべきです。カプトンテープなどでCPU周辺を養生し、0.5mm程度の伝熱パッドで
2.3.については拡張ボードを載せる場合など、ヒートシンク+ファンが使えない場合では有効です。
特にオーディオ用途ではDAC拡張ボードを乗せる事が多いですが、発熱の問題でラズパイ3を避けていた場合は有効だと思います。ただし放熱シートを貼り付けた場合、上部に配置したボードが吸熱側となるため、拡張ボードの温度上昇には気を付けなければなりません。用途に応じてヒートシンク、輻射熱での冷却を使い分けると良いでしょう。

 

*1:実際には受熱側の温度が室温に左右される事が多いため、全く無関係とは言えない

*2:CPU使用率も同時に測定するべきでしたが、忘れてしまいました。測定中は常に4コアとも使用率100%です。