ご無沙汰していましたが、前回の続き。
キャラROMのOE信号が正しく出ていない事まで突き止め、パターンを追って行くとアドレスデコーダIC(74F139)までたどり着き、前回はそこでパターンが途絶えました。
ここまでの現象、調べて分かった事を整理します。
- 起動してもキャラ(スプライト)が表示されない。
- マスクROMチェックで 29Y-36Yまでエラーが出る。
- エラーの出るROMをダンプして正常なイメージと比較しても一致する。
- エラーの出るROMのOE信号が動いていない、または中間電位。
- OE信号はアドレスデコーダIC(74F139)から出力されている
- 74F139の入力が動いていない
これらから以下の事が言えます。
- ROMのデータは正常
- OE信号が動かない事によってROMからデータが出力されていない。(これがキャラが表示されない原因。)
- OE信号を出力しているICの不良の可能性がある。
原因は②、③と考えて良さそうです。ただし、OE信号を出力しているICが汎用品なら交換すれば済みますが、カスタム品だった場合はお手上げです。
■アドレスデコーダIC(74F139)を確認する
まずはアドレスデコーダIC(74F139)自体が正常かどうかを確認します。
外してICテスターでチェックしてみましたが、残念ながら(?)正常でした。その上流のICを確認するために配線パターンを追いますが、コピー防止の観点から回路を難読化するため、わざと読みにくくしている気がします。サインペンとテスターを駆使し、何とか上流のIC(74LS245)にたどり着きましたが、残念ながら(?)それらも正常でした。
■もう一度基板を見直す
もう一度基板を目視でチェックしたところ、1個だけ0.5mmピッチのQFPの足が外れていました。作業前にチェックしたつもりでしたが、見落としていました。(作業台の照明が逆光気味でよく見えてませんでした。。。)
さらにOE信号を辿った所、このICに行きつきました。MAMEのソースによればスプライトジェネレータのようです。キャラ表示に大いに関係ありそうです。
また、もう一度改めて基板全体を確認したところ、ほかにはがれているチップは無し。原因はこれに間違いありません。
ピン曲がりを修正してはんだを修正します。あまり上手くありませんが、ショート無しで基板側と導通しています。
ピンのはんだを修正したはずですが、治りません。しばらく悩みましたがピンが外れた部分の拡大写真をよく観察すると、ICのピンが外れた時に基板のパターンごと損傷してICの内側に伸びるパターンが断線した可能性があります。こうなると一度ICを外して断線パターンを修正し、再度ICを付け直さなければなりません。
■QFPを外す
IC(QFP)の周りをアルミ箔で養生し、ヒートガンであぶってはんだが溶けた所を見計らってチップを外します。幸いにして、古い基板のため有鉛はんだなので融点が低く、流れやすいため比較的楽に外せました。ただし、このチップは他の一般的なICに比べて足が柔らかくて折れやすいため注意して作業します。
ヒートガンはこちらを使いました。
白光 ハッコーヒーティングガン 883B 100V-1KW平型プラグ 883-13
- 出版社/メーカー: 白光
- メディア: Tools & Hardware
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
ICを外せたら半田ごてでパターンを修正します。細いコテ先ではなく熱量の大きい太いコテ先を使うと基板を傷つけず上手く修正できます。私は以下のはんだごてとコテ先を使用しています。コテ本体が軽く熱回復も早いため、おすすめです。
ICを戻します。0.5mmピッチのため、位置決めがきちんとできていないと失敗します。コツはICがずれないよう、きちんとパターンを平らにする事です。
治りました!
このタイトルは不具合の原因がわからない所から始めましたが、無事修復に成功しました。仕事と子供の世話の間にコツコツ進めて足掛け5カ月、無事修復できて感無量です。原因究明から修復まで全部自力で出来た事も自信になりました。いくつになっても、いくらキャリアを積んでも、やはりちゃんと治ると嬉しいものです。
このタイトルは家庭用に移植されていないため、非常に貴重な基板です。せっかくなので、イベントに持ち込んで皆に遊んでもらおうと思います。